歯を抜いた患者さんから、「歯を1本抜いただけでも、すごくかみにくくなるものなのですね」と言われることがよくあります。このとき私は「歯というものは失って初めて本当のありがたさがわかるものなのですよ」とお話します。
誰でも歯は失いたくないものです。虫歯にも歯周病にもなりたくはありません。できるだけ病気を発生させない。一度治したら再発させない。これが予防のコンセプトです。
虫歯と歯周病。これが歯を失う二大疾患です。そして、どちらもプラーク(歯垢)の細菌による感染症なのです。お口の中でいかにプラークを増やさないかが、カギを握っています。
ご自身でのブラッシングです。鏡を見ながら磨く順番を決めて、磨き忘れのない様にしましょう。日頃のブラッシングでプラークはきちんと取れているか、歯科衛生士に見てもらいましょう。自分ではきちんと磨いているつもりでも、意外な所に磨き残しはあるものです。
プラークを赤く染め出すと、お口の中はまっかっかなんてこともよくあります。また、しっかり磨こうとして、あるいはスッキリしないからといった理由で過度な力を入れてブラッシングするのも禁物です。歯肉退縮といって、歯肉が下がり歯が長くなって見えたり、根の部分が削れてしまう場合もあります。
次に歯ブラシの交換時期ですが、毛の質によって交換時期は異なるものの、毛先が少し開いてきたらプラーク除去能力が落ちてきますので、新しい歯ブラシと交換して下さい。歯ブラシを長持させるよりも、ご自身の歯を長持ちさせましょう。
歯ブラシだけではプラークが落としきれない場所には、必要に応じてデンタルフロス(糸状の清掃具)や歯間ブラシ(歯と歯の間の大きさに応じて太さの選択が可能)を使いましょう。いずれにしても大切なことは、歯を磨くという行為ではなくプラークがとれているということです。
キシリトールは白樺などの樹木から得られる天然の糖で、虫歯菌がこれを摂取しても、分解して酸を作ることができません。つまりキシリトールは、虫歯を作らない糖分だといえます。しかしながら、キシリトールを使っている食品は全て虫歯の原因にならないのでしょうか?
答えは「No!」です。
理由は、その食品の原材料の表示を見ていただくとわかります。多くの物がキシリトール以外の甘味成分を含んでおり、キシリトールの含有量も10~100%までと様々です。つまり、甘味成分としてキシリトールを使っていたとても、他に砂糖(ショ糖)や水飴を使っているものは、虫歯の原因になりえるということなのです。
テレビのコマーシャルや番組で紹介されると、人間はそのまま信じてしまいやすいものですが、前述の電動歯ブラシの件と同じ様に、その物の全ての性質・性能を示しているわけではありません。
それでは何を基準に選べばいいかということですが、日本トゥースフレンドリー協会(非営利団体)で実験的に虫歯を作らないと確認された食品に「歯に信頼マーク
」をつけることを認めていますので、これを参考に選んではいかがでしょうか。
また、厚生労働省では、虫歯の原因になりにくい食品と歯を丈夫で健康にする(再石灰化を促進することです)食品に対して「特定保健用食品(トクホ)マーク
」を与えていますので、こちらも選ぶ際には、チェックしてみてください。
最後に、キシリトール食品を摂取しても他の砂糖を含む食品を食べれば、虫歯になり得ますし、ましてや虫歯が治るわけではないことをお忘れなく!
フッ素の定期的な塗布により、歯の酸に対する抵抗力を強くしたり、シーラントという奥歯の清掃しにくい部分の溝に、予防的な詰め物を行うことは虫歯の発生を抑える有効な手段です。詳しくは小児歯科「虫歯の予防処置」をご覧下さい。
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